ポスティングは違法ではない!やり方次第で罰金刑になる可能性はあり

集客目的でチラシを配布したいけど、実際のところポスティング行為は違法になるのかどうか心配ですよね。
最近では「ポスティング禁止」「チラシ配布禁止」と書かれてある家や集合住宅も増えていますが、何も書かれていなければポスティングしても問題ないのでしょうか。
この記事では、ポスティングが違法行為に該当する可能性があるのか、さらに違法行為に発展しないためのポイントについて詳しく解説します。
ポスティングは違法ではない!
ポスティング行為が違法か違法ではないのか、、、
結論からいうと、ポスティング行為自体は違法ではありません。
ではなぜ、「ポスティング行為自体は違法ではない」といえるのでしょうか。
そもそもポスティングとは、広告物をポストに投函することです。ポストを設けているということは外部から配布物を投函されることを承諾しているとみなされます。
したがって、ポスティング行為そのものに違法性はないと判断されるのです。
違法になるケース
通常、ポスティングで違法性が問われることはありません。
ただし、違法性が問題になるケースもあります。ポスティングの違法性が問われるのは主に以下の場合です。
・「ポスティング禁止」「チラシ配布禁止」が表示された住宅に配布
・選挙チラシ・ピンクチラシの配布
それぞれ以下で詳しく見ていきましょう。
「ポスティング禁止」「チラシ配布禁止」が表示された住宅に配布
最近では集合住宅だけでなく、一般住宅でも「ポスティング禁止」「チラシ配布禁止」といった掲示を目にすることがあります。
何の意思表示もしていない住宅にポスティングする場合は良いのですが、このような意思表示をしている住宅にポスティング行為を行うと刑法第130条の住居侵入罪に問われることがあります。
ただし、一般的なビラやチラシを投函することで実際に訴えられることはほとんどありません。
選挙チラシ・ピンクチラシは違法
住居侵入罪でポスティング行為が有罪となった例もあります。しかし、いずれも政治的な内容を含んだものです。
このほか、ピンクビラ(性風俗に関したチラシ)も住居侵入や条例違反に問われることがあります。
ポスティングで違法になった判例はある
前述のとおり、一般的なポスティング行為であれば違法になることはほとんどありません。
しかし、実際にポスティング行為で有罪になった例もあります。
ポスティングを行うのであれば、どのような場合に有罪になるのかを知っておくことも大切です。
ポスティングが有罪になった判例紹介
実際にポスティング行為が有罪になったケースとしては以下の例があります。
・立川反戦ビラ配布事件
・葛飾政党ビラ配布事件
立川反戦ビラ配布事件
立川反戦ビラ配布事件とは、反戦ビラを投函する目的で、「立川自衛隊監視テント村」という市民団体の構成員が、立川自衛隊官舎に立ち入り、住居侵入罪で有罪となった事件です。
この判例は、第一審では「刑事罰に値するほどの違法性は認められない」として無罪となりました。
しかし、控訴審・上告審によって「被告が立ち入った場所が刑法130条の『人の看守する邸宅』に該当すること」、また「被告人の立ち入りに対して都度被害届が出ていたこと」などから有罪判決となりました。
葛飾政党ビラ配布事件
葛飾政党ビラ配布事件とは、東京都葛飾区のマンションにおいて、共産党の議会報告やアンケート用紙などをマンションの戸別ドアポストに投函し、住居侵入罪で有罪となった事件です。
通常、商業用チラシでは訴えられない
ポスティング行為で有罪となった判例について紹介しましたが、通常、商業用のビラ・チラシのポスティング行為によって訴えられることはほとんどありません。
では、なぜ商業用のビラ・チラシでは違法性が問われないのでしょうか。
悪質性が証明できなければ刑事事件とするのは難しい
刑事事件にする場合は、商業ビラのポスティング行為が「住居の平穏を害するような立ち入りであったか」が問題になります。
しかし、ポスティング行為のために住居に立ち入ることは住居管理者の意思に反することかもしれませんが、平穏を害することを証明するのは難しいでしょう。
ポスティングで民事訴訟を起こす価値がない
刑事事件が難しければ民事事件として訴えることはできないのでしょうか。
実際のところ、これも難しいと言わざるを得ません。
民事訴訟を起こすのであれば、ポスティング行為が民法上の不法行為に該当することが必要になります。また、同時にこの不法行為によってどのような損害が生じたかを証明できなければなりません。
ポスティング行為によって財産的な損害があることは稀ですし、精神的な損害を請求したとしてもそれほど高額の賠償金は期待できません。
訴訟を起こす手間や時間などを天秤にかけると民事訴訟を起こす価値はほとんどないと考えられます。
違法にならないポスティングのコツ
商業用のビラやチラシであれば、ポスティング行為自体が違法行為となることはほとんどないことを説明しました。
ただし、ポスティングを行うのであれば、違法行為と言われないための対策を取っておきましょう。
意思表示されているところにはポスティングをしない!
「ポスティング禁止」や「警察に通報」など配布禁止の意思表示がされている住宅がありますが、表示内容によって配布するかどうかの判断が分かれます。
ポスティング会社は「ポスティング禁止」「配布禁止」「チラシ不要」などの表示があっても配る場合が多いです。
一戸建ての住宅にこのような表示があると配らないことが多いですが、マンションであれば配るのが一般的です。
ただ、「罰金〇万円」「警察に通報」などの表示があると配りません。
これは、ポスティングのせいで実際に罰金が必要になったり、刑に処されるからではなく、このような表示をしている住宅に配ると非常にクレームになる可能性が高いからです。
一度クレームになると、その対応や処理に思った以上に時間や労力が必要になります。
そういったリスクを回避するために配布はしません。
これはポスティング会社によっても判断が異なり、全てのポスティング会社に当てはまる訳ではありませんが、もし自分で配る際の参考にしてください。
配布する時間帯を考慮する
ポスティングを行うなら、1枚でも多く配ったチラシやビラを手に取って見てもらいたいものです。
そう考えると新聞や郵便物の投函がない夜間や早朝に配布するのが効果的といえます。
基本的にポスティングの配布時間に関するルールや決まりはありません。したがって、いつポスティングを行っても違法ではありません。
しかし、だからといって深夜にポスティングを行うことは絶対にやめましょう。
夜遅い時間に見知らぬ人が自宅をうろついていたら不信に思いませんか?
怪しいことをしているわけでもなく、深夜にポスティングをしたというだけで文句やクレームを言われたり、警察に通報されたりするのは本意ではないですよね。
最悪の場合、話がこじれたら訴えられる可能性だってあります。
ポスティングを行う際は、配布する時間帯も考慮することが大切です。
クレームには真摯に対応する
「チラシ配布禁止」「ポスティング禁止」という張り紙や意思表示がなければ文句を言われない、というわけではありません。
毎日のように投函されるビラやチラシに嫌悪感を抱いている人も少なからずいるはずです。ですから、クレームがあった場合は真摯に対応することが大切です。
クレームがあった家や集合住宅については、資料や地図などにマーキングをして2度とポスティングすることのないようにしておきましょう。
クレームがあった家に再度ポスティングを行った場合は、連日投函と受け取られる可能性があり、住居侵入で訴えられることもあります。
トラブルを回避するためにも法律を理解した業者に依頼しよう
ここまで説明したように、ポスティングはやり方次第でトラブルに発展することもあり、個人での投函にはリスクがあるため、業者への依頼をおすすめします。
トラブルを回避するためには、依頼するポスティング業者も重要です。ポスティング業者に依頼する際はポスティング業務に伴う法律を理解している業者を選ぶことが大切です。
法律を理解している業者を見分けるポイントには以下のようなものがあります。
・「ポスティング禁止」の意思表示のある住居への配布をしていない
・ポスティングに関するマニュアルがしっかり作成されている
・住人からクレームなどが入った場合は、2度と配布しないようNGリストを作成している
まとめ
ポスティング自体は基本的に違法ではありません。
しかし、「ポスティング禁止」の張り紙があるにも関わらずチラシやビラを投函したり、クレームを受けたにも関わらず再びポスティングを行ってしまうとトラブルに発展することがあります。
ポスティングを行うならポスティングに関する法律に精通した業者を選ぶことが大切です。